暗号資産とは、P2P(ピアツーピア)というインターネット・ネットワーク上に存在するブロックチェーンという構造を持った特殊なデータで、資産価値を持つもののことです。
インターネット上のネットワークに存在し、各国の中央銀行や政府機関とは一切関係がありません。
一般的には、ビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH)などの、以前は仮想通貨と呼ばれたものが該当します。
※2023年現在、暗号資産は世界で18,000種類も存在します。このうち本来の意味で資産価値を持つものはわずかです。
暗号資産はインターネット上の電子データ
ビットコインやイーサリアムなどの暗号資産は、インターネット上にある専用のP2Pネットワークにある電子データなので目には見えません。
暗号資産ごとに専用のネットワークがあります。
これら暗号資産の一部は、米ドルや日本円と同じように、インターネットを介して送金や売買など通貨としての利用が可能です。
暗号資産は、bitbankやCoincheckなどの暗号資産取引所で買うことができます。もちろん売却もできます。
イーサリアムは、通貨機能ばかりでなく、すでに広がりつつあるNFT(Non-Fungible Token:非代替性トークン)という、絵や写真やイラスト作品などに、暗号資産で使われているブロックチェーン技術を応用して、コピーができない作品としたものが実際に高額で流通されています。
NFTの市場で世界で最も有名なものはOpenSeaです。日本からも利用できます。売買はイーサリアム(ETH)で行われています。
さらにこれを応用すれば、将来はNFTを応用して、複製や改ざんができない公文書も作れますし、例えば家を買ったときの権利証も作れるでしょう。
このサイトでは、従来、仮想通貨と呼ばれていたビットコインやイーサリアムなど、ドルや日本円と同じように送金や売買ができて、通貨としての利用が可能なものを暗号資産として扱います。
今世の中にある暗号資産として取引されているものの多くは、流通量がほとんどなく、価値があるとは思えないものばかりであることには留意しておいてください。
暗号資産は日本政府も正式に認めています
日本では2016年(平成28年)5月に資金決済に関する法律(資金決済法)が改正され、仮想通貨の取引サービスが同法による規制の対象となりました。
この法律の施行は2017年(平成29年)4月でした。
日本で仮想通貨が正式に認められたのです。
その後、2018年(平成30年)12月に、金融庁は仮想通貨の呼称を暗号資産に改めると発表し、2020年(令和2年)5月1日に正式に施行されました。
世界的にも呼称に変化があります。以前までは「Virtual Currency(仮想通貨)」や「Cryptocurrency(暗号通貨)」といった呼称が使われていました。
これが、G20などの国際会議では「Crypto asset(暗号資産)」と表現されるようになり、日本国内でも、仮想通貨の呼称について世界基準にあわせた形となっています。
このように、暗号資産は日本国内のみならず、G20といった金融・世界経済に関する首脳会合でも取り上げられるほど世界中に普及しています。
暗号資産のルーツは日本人
このルーツの話題はどうしても取り上げておかなければなりません。
暗号資産の基幹通貨であるビットコインは、日本人が考案したものというのが通説です。
「Satoshi・Nakamoto」という名前は聞いたことがあるかもしれません。
2008年11月1日、metzdowd.com内の暗号理論に関するメーリングリストに、サトシ・ナカモトは電子通貨ビットコインに関する論文を発表し始めました。
2009年にはビットコインのソフトウェアをネット上に発表し、ビットコインの最初のマイニング(採掘)を行い、2009年1月3日運用が開始されたとなっています。
2013年、サトシ・ナカモトが保有するビットコインの量は、推定約100万BTCだと、ビットコイン開発者Sergio Demian Lernerが発表しています。
Satoshi・Nakamotoという人物は2010年12月を最後に消息を絶ちました。未だに人物が誰なのか不明です。実際には日本人なのかも不明です。
日本の実業家のある人物は、2019年、金子勇(Winnyの開発者)が「サトシ・ナカモト」だとする興味深い仮説を唱えています。
金子勇氏は元東京大学大学院情報理工学系研究科特任助手で、非常に頭脳明晰と言われ、その時代にP2P(ピアツーピア)の技術的仕組みを研究し、論文からもSatoshi・Nakamotoと共通性が読み取れるとしています。
金子勇氏は2013年7月に急逝されています。
今のところは都市伝説に過ぎませんが、私も金子氏ならビットコインを考案できるに違いないと密かに思っています。
ビットコインの総量は決まっている
Nakamoto氏が保有しているとされる100万BTCは一度も使われていません。
ビットコインの発行枚数には上限があり、2040年までに2100万枚に設定されています。これはナカモト氏が作成したプログラムのソースコードに記載されているそうです。
そして、運営上、この上限を変更することはできないとされています。
※なぜここで2100万BTCではなく2100万枚なのかは不明ですが「枚=BTC」と同義と思われます。
2022年8月には、その90%程度が発行・流通されており、残りの10%についてもマイニング(採掘)によって、今後順次発行されていくことになっているそうです。
限度枚数にすぐに到達しないよう、マイニングされた新しいビットコインの価値は、時間とともに低くなるよう設計されています。
つまり、ビットコインの発行枚数に合わせて、マイニングで報酬として得られるビットコインが半分になっていく仕組みです。
※ マイニングで報酬として得られるBTCが新規発行になることは後で記述します。
過去には、2012年、2016年、2020年と約4年ごとにマイニング報酬が半分になる半減期が来ています。
これに伴い、2012年にマイニング報酬は50BTCから25BTCに、さらに、2016年にもう一度半減して12.5BTCに、さらに2020年には6.25BTCになっています。
次の2024年ごろには3.125BTCになる予定とされています。
ビットコインの価値の変化
ビットコイン(BTC)が2009年1月に登場して数か月後、ビットコインのマイニング(コンピュータによる取引の承認)が初めて成功し、その時の価値は1BTC≒0.07円ほどでした。
※当時のマイニング報酬は50BTC
さらに、その数か月後、ビットコインを用いて、初めてピザ2枚の決済が行われました。その時はピザ2枚が10,000BTCで、1BTC=約0.2円の価値でした。
その後は2021年に最高770万円をつけたのはご存知のとおりです。
※暗号資産の取引価格は取引所によって若干違います。最高値が777万円、765万円などと書かれているのはそのためです。
2022年11月に約230万円前後に急落したのち、2023年11月には570万円前後に回復しています。
すべてのビットコイン(BTC)取引履歴はブロックチェーン上に記録されており、誰もがそれを参照できるようになっています。
マイニングの意味をわかりやすく言うと
マイニングとは採掘のことと文献には書かれています。
そしてこんな説明もあります。マイニングとは、簡単に言うと不正が起こらないようにビットコイン(BTC)の取引を確認する作業のことで、具体的には「高性能パソコンによる計算」です。
ますます分からなくなりますね。
そもそも何を(どんなデータを)見つけるのか。
何となく分かりやすい説明を見つけました。
いくつかの文章を要約すると、次がマイニングの正しい説明です。
ビットコインでは、全世界における暗号資産のすべての取引記録(送金記録)は、マイナーが内容の正確さを確認し承認した後、一定期間ごとにブロックチェーンの取引台帳に追記されます。
取引台帳に追記できたマイナーには、成功報酬として6.25BTCを自ら新規発行して自分のものにできます。(2023年現在)
この承認作業の一連の流れをマイニングと言うのが一般的な定義です。
ビットコインの送金には、マイニング作業が必要です。ビットコインの送金はブロックチェーンの仕組み上、マイナー(マイニングを行うネットワーク参加者)の存在によって成立します。
次のような説明ならわかりやすいでしょうか。
0.001BTC(ビットコイン)を送金するにもマイニングが欠かせません。
送金者がビットコインを送金した場合、取引が改ざんされていないことを証明するために、ビットコイン専用のP2Pネットワーク上にある送金したビットコインのデータをマイナーが見つけて、承認作業を行います。
ただし、送金者はマイニングを完了させたマイナーに手数料を支払う仕組みになっています。手数料は高額にするほど素早いマイニングが実施される傾向にあるとのことです。
マイナーは24時間体制でP2Pネットワーク上の暗号資産データを監視しているのです。
2005年頃に一世を風靡したWinnyというファイル交換ソフトを使ったことのある方は、P2Pネットワーク上から希望のデータを見つけ出すことが、なんとなくイメージとして掴めると思いいます。
ここからちょっと余談になります。
取引台帳に追記する処理には、ネットワーク上に分散されて保存されている取引台帳のデータと、追記の対象期間に発生したすべての取引のデータの整合性を取りながら正確に記録しなければなりません。
その整合性を取る作業は、ビットコインの登場したころは個人のパソコンでもできたそうですが、今では大量の高性能なパソコンを使わなければ追いつきません。
ブロックチェーン1ブロック(1MB)当たり約2000取引以上を処理しています。
※ 2022年現在、1ブロックは4MBまで拡大されています。
※ 取引量参考 https://www.blockchain.com/explorer/charts/n-transactions-per-block
このパソコンは、マイナーと呼ばれる会社が、その計算のためにだけ世界中に所有しています。今では個人では効率が悪いためマイニングをしている人は殆どいません。
今までは中国に圧倒的多数のマイナーがいましたが、中国政府がマイニングに対する取り締まりを始めたため、マイナーは世界中に分散されつつあります。
多数のマイナーがビットコインの取引記録を確認する作業を同時に行っていますが、作業に成功するのは一番早く確認作業を終えたマイナー1人(1社)だけです。
確認作業に成功したマイナーは、ブロックチェーンの最後に、確認した取引記録のブロックを追記することができます。
前述のように、そのマイナーには成功報酬として、自ら6.25BTCを新規発行して自分のものにできます。
これらの一連の作業と成功報酬のことを、金や鉱石の採掘に例えて「マイニング(採掘)」と呼んでいるわけなんですね。
どこかに埋もれているお宝(ビットコインデータ)を見つけ出すことを採掘と言うわけではないんです。
暗号資産とは まとめ
暗号資産は、プログラムによって作り出された電子データのことなんですね。
暗号資産の基幹通貨であるビットコインも電子データですから、実際のコインなどがあるわけではありません。
暗号資産を事実上、運営しているのは、ビットコイン・プロトコル(手順)にしたがって動いている、世界中のマイナーがもつ大量のパソコン群です。
マイナーは、1ブロックごとの取引を承認してブロックチェーンに追記するたびに6.25BTCを報酬としてもらって運営を続けています。(6.25BTCは2020年以降)
登場した当時は1BTC=0円からスタートしたビットコインですが、2023年には時価総額100兆円にもなり、多くは投資目的ですが、一部は本来の送金手段として使われています。
ビットコインやイーサリアムなどは、通貨としての機能も持っていて、その価値は世界中で認められています。
多方面に応用が効くことが知られてきて、今後は生活の中に徐々に浸透していくことになるでしょう。
中には価値のない暗号資産も多数ありますからご注意。
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