ご存知と思いますが、2022年11月11日に世界第2位の暗号資産取引所であるFTXが破綻したことで、暗号資産そのものがダメだという風潮が一時的に広がりましたね。
でも、暗号資産取引所が破綻したことと、暗号資産そのものは直接には関係ありません。
取引所FTXには現物資産がほとんどなく、自社で作り出したFTXトークンという金融派生商品(これも暗号資産の一つではあります)が資産のすべてだったことが指摘されています。
つまり経営姿勢の脆弱さのために破綻に至ったと考えても良いと思います。
FTXの倒産理由は詳細な報告を待つ必要がありますが、暗号資産そのものが悪いわけではないのは確かです。
ネットニュースには相変わらず「仮想通貨は地獄絵図へ」とか「仮想通貨はトレーディングカードのようなもの」とか言う記事が目立ちます。
世界中で18,000以上もあるという暗号資産の中には、確かに大した価値の見いだせないものもたくさんあります。
でも通貨として十分な機能を果たしているビットコインやイーサリアムなどもありますから、十把一絡げに暗号資産は価値がないというのは誤りです。
注目してほしいのは、これらの批判記事には「根拠」が全く示されていないことです。
ただの根拠のない持論で煽っているだけに思えてなりません。
論理的な根拠のある記事は勉強になりますが、根拠のない記事はただの中傷記事でしかなく見るに値しません。
暗号資産にもピンからキリまである
仮想通貨の種類は今や18,000以上あると言います。
取引所で売買できるものは全部ではなく、限られた暗号資産だけで、取引所では売買できない専用のプラットフォームでしか使えないものもあります。
時価総額で見ると
2023年12月03日現在(常に変動しています)
参考サイト:https://coinmarketcap.com/ja/
※Googleで最初に出てくるため使用しました。
ランキング | 名称 | 時価総額 |
1位 | ビットコイン(BTC) | 113兆1千億円 |
2位 | イーサリアム(EHT) | 38兆円 |
3位 | テザー(USDT) | 13兆1千億円 |
4位 | バイナンスコイン(BNB) | 5兆円 |
5位 | リップル(XRP) | 4兆9千億円 |
6位 | ソラナ(SOL) | 3兆9千億円 |
7位 | USDコイン(USDC) | 3兆6千億円 |
8位 | カルダノ(ADA) | 2兆円 |
9位 | ドージコイン(DOGE) | 1兆7千億円 |
10位 | トロン(TRX) | 1兆3千億円 |
11位 | チェーンリンク(LINK) | 1兆3千億円 |
12位 | トンコイン(TON) | 1兆2千億円 |
13位 | アバランチ(AVAX) | 1兆1千億円 |
14位 | ポリゴン(MATIC) | 1兆1千億円 |
15位 | ポルカドット(DOT) | 1兆円 |
16位 | ダイ(DAI) | 7840億円 |
17位 | ライトコイン(LTC) | 7790億円 |
18位 | シバイヌコイン(SHIB) | 7380億円 |
19位 | ビットコインキャッシュ(BCH) | 6600億円 |
20位 | ユニスワップ(UNI) | 5280億円 |
比較のため2022年の時価総額では
2022年11月21日11時現在
参考サイト:https://coinmarketcap.com/ja/
ランキング | 名称 | 時価総額 |
1位 | ビットコイン(BTC) | 43兆6千億円 |
2位 | イーサリアム(EHT) | 19兆3千億円 |
3位 | テザー(USDT) | 9兆2千億円 |
4位 | USDコイン(USDC) | 6兆2千億円 |
5位 | バイナンスコイン(BNB) | 5兆8千億円 |
6位 | バイナンスUSD(BUSD) | 3兆2千億円 |
7位 | リップル(XRP) | 2兆5千億円 |
8位 | カルダノ(ADA) | 1兆4千億円 |
9位 | ドージコイン(DOGE) | 1兆4千億円 |
10位 | ポリゴン(MATIC) | 9600億円 |
11位 | ポルカドット(DOT) | 8300億円 |
12位 | ダイ(DAI) | 8200億円 |
13位 | シバイヌコイン(SHID) | 6500億円 |
14位 | トロン(TRX) | 6400億円 |
15位 | ライトコイン(LTC) | 6300億円 |
16位 | ソラナ(SOL) | 5900億円 |
17位 | レオ(REO) | 5800億円 |
18位 | ユニスワップ(UNI) | 5700億円 |
19位 | ラップドビットコイン(WBTC) | 5200億円 |
20位 | アバランチ(AVAX) | 4900億円 |
この1年間のビットコインの上昇に引っ張られるように、全体的に値上がりしたために、時価総額も大きく上昇していますね。
入れ替わりもありますし、急上昇している暗号資産もあります。
上記の coinmarketcap.com サイトでは、9000位を超える当たりまでの暗号資産時価総額を見ることができます。これで総数の約半分なのだから驚きますね。
時価総額は「現在の価格×発行数」ですので、人気度ランキングと言えます。
上位のものは流通数も多いので売買しやすいですね。
国内の暗号資産取引所の例では、ビットバンクでは次の種類が売買できます。
BTC/JPY(ビットコイン/日本円)
XRP/JPY(リップル/日本円)
LTC/JPY(ライトコイン/日本円)
ETH/JPY(イーサリアム/日本円)
MONA/JPY(モナコイン/日本円)
BCC/JPY(ビットコインキャッシュ/日本円)
XLM/JPY(ステラルーメン/日本円)
QTUM/JPY(クアンタム/日本円)
BAT/JPY(ベーシックアテンショントークン/日本円)
OMG/JPY(オーエムージー/日本円)
XYM/JPY(シンボル/日本円)
LINK/JPY(チェーンリンク/日本円)
MKR/JPY(メイカー/日本円)
BOBA/JPY(ボバネットワーク/日本円)
ENJ/JPY(エンジンコイン/日本円)
MATIC/JPY(ポリゴン/日本円)
DOT/JPY(ポルカドット/日本円)
DOGE/JPY(ドージコイン/日本円)
ASTR/JPY(アスター/日本円)
ADA/JPY(カルダノ/日本円)
AVAX/JPY(アバランチ/日本円)
これだけの暗号資産の種類があるので、価値のうすいものだって多々あるわけですね。ただし、資産総額が小さいからと言って、なにかの拍子に高騰してとんでもない額になったりすることもあります。
でもそれは投資ではなく投機に近いので、一般の方は手を出さないほうが賢明です。
暗号資産の有用性
暗号資産は、プロトコールやチェーンブロック技術を抜きにしては語れませんが、簡単に言うと、ユーザーは誰でもいつでもすべてのトランザクション(取引記録)を見ることができます。
これは銀行などの金融機関相手では個人情報の開示に当たるため絶対にできないことです。
しかも、全ての取引がノードと呼ばれるブロックチェーンに参加しているコンピュータのネットワーク上で記録、認証、共有されていて、デジタル台帳は透明で、誰でも追跡可能かつ閲覧可能な証跡が提供されています。
つまりは、記録は常に開示され、正確で、第三者による偽造ができないシステムになっていることが他にはない有用性として挙げられます。
このような高い信頼性の上で、銀行に頼ることなく国境を越えて安価に送金できたり商取引ができることが最大のメリットです。
経済的地位に関係なく、銀行口座が持てなくても、どこにいても個人間で直接、低コストで資金移動ができるというわけなのですね。
銀行間は国際送金の手段としてSWIFT(スイフト)というシステムを使っています。
でも暗号資産なら、ネット環境さえあれば、相手の受け取り用アドレスを指定するだけで暗号資産の送金が完了します。
今は、暗号資産の価格変動が大きいので一般にはまだまだ普及していませんが、価格の安定した暗号資産になってくれば、それこそウォレットからQRコードで支払い完了のように使用されることになるかもしれませんね。
暗号資産は、その取引記録がすべて開示されていて、内容を偽装することが不可能な特性がある限り、システムという考え方の上では、なくなることはない形態だと考えます。
ただ、企業で言う業績(ファンダメンタルズ)という概念はなく、アメリカの金利上昇やエルサルバドルの法定通貨化といった人気投票的な需給のみで価格が上下しているため、人気のなくなった(取引量がなくなった)暗号資産は消滅していくでしょう。
今はまだ発展途上で、その価格の大きな変動だけを見て、利益が出たとか損をしたとか言っている段階に過ぎません。
10年後には、ほとんどの方のスマホに暗号資産ウォレットがあって、暗号資産で通販商品を買うのが当たり前になり、また、今は誰も思いつかないようなシステム形態が構築されているかもしれませんね。
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