暗号資産で資産形成
暗号資産は以前は仮想通貨と呼ばれていました。
ビットコインは、世界で初めて登場した暗号資産です。そのため、暗号資産の祖といわれています。
ビットコイン以外の暗号資産のことを総称してアルトコインと呼びます。
暗号資産とは価値を持った電子データのこと
通貨は国の中央銀行によって発行され、国が管理を行っています。
でも暗号資産は、国や金融機関などが一切関わっていなく、P2P(ピアツーピア)というネットワーク上の高度な技術(ブロックチェーン)による信頼性のみで成り立っている、資産価値を持った電子データです。
データなので、コインのような形を持ったものではありません。
でも自分が所有している暗号資産データは、自分のスマホ上の電子ウォレットや、手のひらに乗るようなハードウェアウォレットの中に電子データとして持つことができます。
ハードウェアウォレットの例
仮に1億円や10億円分の暗号資産だとしても、USBメモリーのような大きさのハードウェアウォレットに入れておくことができるのです。
暗号資産の価値とは
暗号資産の信頼性は、ブロックチェーンという技術によって、コピー(偽物)が作れない構造であることや、書き換えが行われると記録が残り、だれも改ざんできないことによって成り立っています。
しかし、元はただのデータなので、世の中の人がそれに価値を見出さなければただのゴミデータに過ぎません。
ビットコインは2008年に、イーサリアムは2013年に考案され、10年以上の長い年月をかけてバージョンアップされ、通貨としても使えるという信頼性を築き上げてきました。
1ビットコイン=1006万円前後の取引価格
1イーサリアム=55万円前後の取引価格
※2024年7月現在
今現在、世界中に18,000種類以上の暗号資産がありますが、その多くは資産価値が見いだせず、特にここ2、3年以内に出たような怪しげな自称暗号資産は、公開直後の値上がり利益だけを狙ったもののような気がします。
暗号資産で一番便利なことは、ネット環境さえあれば海外の個人に銀行を経由しないで暗号資産を送れることではないでしょうか。
世界のどこにでも30分もあればスマホからでも送ることができます。
現地で受け取った暗号資産を取引所で売買することで、簡単にドルなどのリアルマネーに替えることができます。
お金を海外の個人に銀行から送金するときの煩雑さと手数料の高さを考えたら、夢のような簡単さです。
これも暗号資産が通貨と同じ価値を持つと世界中の人が考えているからこそできることですね。
ビットコインは2024年に4回目の半減期を迎えました
ビットコインは発行総量が2140年ごろまでに2100万枚と決まっています。データなのに万枚というのは違和感がありますが、2100万ビットコインと考えればいいでしょう。
2022年8月には、その90%程度が発行・流通されており、残りの10%についてはマイニング(採掘)によって、マイニング報酬として今後順次発行されていくことになっているそうです。
マイニングとは、P2Pネットワーク上でビットコインのデータを見つけ出し、これまでの取引データとの整合性に問題がないか検証され、問題がなければ承認され、データが入ったブロックはブロックチェーンの最後尾につなげられる一連の作業のことです。
この役割はマイナーが担っています。
ビットコインの発行枚数に合わせて、マイニングで報酬として新たに発行されるビットコインが半分になっていく仕組みになっています。
これに伴い、2012年にマイニング報酬は50BTCから25BTCに、さらに、2016年にもう一度半減して12.5BTCに、さらに2020年現在には6.25BTCになっています。
2024年4月20日には3.125BTCになりました。
半減期を迎えることで大手のシンクタンクなどでは、ビットコインの価格が20万ドル(約2500万円)にもなるのではという予測を出していますが、こればかりは半減期を過ぎてみないとわかりません。
20万ドルになるというのは夢のような話ですが、通貨のように流通性があることに価値を認めた世界中の人が、埋蔵量に上限があることにより、それを希少価値と考えて流通価格が上がっていく可能性はあります。
また、マイニングが金(GOLD)の発掘と似たイメージであることから、一部にはビットコインは金と同じ価値があるという人もいます。
金の価格は2010年頃に1gが3000円前後でしたが、2023年には1gが1万円を突破しています。上がることはあっても、下がることはまずありません。
ビットコインもこうなると嬉しいですね。
通貨的要素が強いビットコインと著作物に埋め込まれるイーサリアム
ビットコインが将来的に安定的な価格に落ち着くとしたら、本当に通貨に代わる決済手段として世の中に広まる可能性があります。
また、イーサリアムは、その独自のプラットフォームがNFT(non-fungible token:非代替性トークン)に取り入れられ、「改竄不可能な」取引履歴により、NFTは誰が発行したものかを誰でも確認できて、「定められた取引のルール」に従えば誰でも取引ができるという特性があります。
これによりNFTは資産としての価値を得ることができるようになり、アート作品やゲーム内のコンテンツ、音楽、ゲーム内の建築物などのデジタルコンテンツに値が付き、インターネット上で高値で取引されるようになりました。
有名なOpenseaなどでNFTが売買されています。
ちなみに次は私が所有しているNFTの一部です。OpenSeaで購入したものです。
NFTの売買にはイーサリアムが必要です。ガス代(手数料)の支払いには、一般的にはポリゴン(MATIC)が使われています。
ポリゴンネットワークはイーサリアムネットワークの一つで、手数料が安く済むのでよく使われています。
※ MATICはポリゴンエコシステムトークン(POL)に移行しました。トークンのシンボルは変更されましたが、トークンの数量や価値には直接の影響はありません。MATIC保有者においても特に手続きなどは不要で、保有分のMATICは自動でPOLに変換されています。
日本で流通している価値のある暗号資産としては次のようなものがあります。
ビットコイン(BTC)
以下はアルトコインです。
イーサリアム(ETH)
リップル(XRP)
ポルカドット(DOT)
ポリゴン(MATIC)
トロン(TRX)
エンジンコイン(ENJ)
ソラナ(SOL)
エイダコイン(ADA)
短期的投資と長期的投資
ビットコインは、2021年に770万円の高値をつけた後、2022年には250万円まで下落し、2023年には550万円まで回復したのち、2024年3月には1000万円を超えています。
※取引所ごとに取引価格が若干違います。
短期的には、250万円で買ったビットコインが1年半で1000万円になり、資産が4倍になったわけです。
半減期前に1000万円を超えたせいか、2024年7月現在は1000万円前後でレンジ相場になっています。半減期後の価格は更に上昇すると思われますが右肩上がりに上昇していくとは思えません。
上がったり下がったりを繰り返しながら緩やかに上昇していくと思われます。
そこで、2つの投資方法があります。
短期的投資方法
安値で買い高値で売るという、投資本来の動きを繰り返すことで利益を出す方法です。
売買は暗号資産取引所で行います。日本ならビットバンクやコインチェックなど多くの取引所がネットで利用できます。
取引所の自分の口座に銀行から資金を振り込み、その資金で暗号資産の買い注文を出し、約定すれば自分のものになります。株式売買と似たイメージです。
ビットコインは、1日の間でも数十万円の動きがよくあります。
短期投資は、1日から1週間ほどの値動きにのって利益を出す方法です。
もちろん1BTC(今なら約1000万円分)を持っている必要はなく、0.05BTC(約50万円分)でも売買を繰り返すことである程度の利益が狙えます。
ある程度の投資資金が必要ですが、数十万円の資金でも、1日で数万円の利益が狙えます。
長期的投資方法
これはすばり、ドルコスト平均法で毎月コツコツと定額で買い増していく方法です。
価格に関係なく1カ月に1万円なら1万円分を買っていきます。
1万円で1000万円のビットコインなら0.001BTCが買えますし、500万円まで下がれば0.002BTCが買えます。
2年もすれば合計0.1BTCぐらいにはなるでしょう。
これは将来の値上がりを予測した買い方です。
もしもビットコインが1500万円になれば、0.1BTCでも150万円の価値になります。投資額はそれ以下でしょうから確実に利益が出ていますね。
短期と長期を両方やるのが良いです
ある程度のビットコインを持つようになったら、利益が出たところで半分を売ります。この半分で、安値で買い・高値で売るを繰り返して利益をとっていきます。こちらは短期的投資です。
半分は残しておいて将来の値上がりに備えてコツコツと毎月買い増していきます。こちらは長期的投資です。
両方を同時にやっていくことがビットコインで利益を出すコツだと思います。
暗号資産の取引目安
やはり市場で一定規模の売買があることが大事です。
数字で言えば、時価総額の目安は最低でも「100億円〜300億円以上」
特に短期売買を考えている人は1日の売買代金は「30億円」をひとつの基準に。これ以下になると狙った価格で取引できない可能性が高まってしまいます。
以下は2023年12月のある日の取引量です。
参考サイト https://coinmarketcap.com/ja/
暗号資産 | 時価総額 | 1日取引高 | 時価 |
ビットコイン(BTC) | 110兆円 | 2兆8千億円 | 564万円 |
イーサリアム(ETH) | 37兆円 | 1兆3千億円 | 30万9千円 |
テザーコイン(USDT) | 13兆円 | 4兆6千億円 | 148円 |
バイナンスコイン(BNB) | 5兆1千億円 | 877億円 | 33,900円 |
リップル(XRP) | 4兆8千億円 | 1400億円 | 90円 |
ソラナ(sol) | 3兆8千億円 | 1900億円 | 8,946円 |
スティーブルコイン(USDC) | 3兆6千億円 | 6300億円 | 148円 |
カルダノ(ADA) | 1兆9千億円 | 390億円 | 56円 |
ドージコイン(DOGE) | 1兆7千億円 | 990億円 | 12円 |
トロン(TRX) | 1兆3千億円 | 340億円 | 15円 |
トンコイン(TON) | 1兆2千億円 | 46億円 | 360円 |
アバランチ(AVAX) | 1兆2千億円 | 730億円 | 3,283円 |
チェーンリンク(LINK) | 1兆2千億円 | 760億円 | 2,159円 |
ポリゴン(MATIC) | 1兆円 | 760億円 | 114円 |
ビットコインとイーサリアムがダントツですね。
暗号資産の将来性
すべての暗号資産が有望だとは思いません。雨後の筍のように出てきた自称暗号資産がほとんどだと思いますから。
上記の CoinMarketCap.com を見ると非常に大きな取引料の暗号資産がたくさんあることが分かります。
でも1日に30億円以上の取引高があるのは、18,000以上の暗号資産で、わずか上位50位くらいまでに過ぎません。
長期的な視野で見るならビットコインだと思います。
時価総額110兆円の資産市場がなくなるでしょうか。企業の業績といったことには関係がないので、純粋に人気投票的な需給関係だけで成り立つ市場です。
アルトコインは、何かの目的があって使うものと考えています。
その暗号資産に投資する根拠が必要です。
今自分が投資しようと思っている暗号資産は「どんな目的で何に使われる予定なのか」を調べてから、投資すべきかを考えてはいかがでしょうか。
短期投資ならボラティリティ(値動きの大きさ)が大きい暗号資産がやりやすいでしょうね。
20週(短期)、50週(中期)、90週(長期)の3期間のチャートを見て判断するのがやりやすいです。
ただ取引量が少ないと、買えたとしても狙った価格で売れないということにもなりかねませんから、1日の取引高は大事です。
短期投資はともかく、長期で持つ場合は暗号資産の信頼性と汎用性(幅広く使われる)を考えて投資しなければなりませんね。
暗号資産、狭義にはビットコインは、長期的投資で思わぬ財産形成につながる可能性があると思います。
ビットコイン投資に全財産をつぎ込むのは無謀です。ポートフォーリオの一つとして運用してみてはいかがでしょうか。